自信には2種類あると思う。
1つは、ある意味で他人より秀でている事が間接的もしくは直接的に証明されたと認識する事によって得られる「根拠のある自信」。
もう1つは、何があるってワケじゃないけど、その人が元々持ってる「根拠のない自信」。
「根拠のある自信」の具体的な例としては、高額の年収を得ることで得られる自信や、趣味の世界で世界有数の人であると認められたときに得られる自信や、SNSなどで人気者になった事によって得られる自信がある。
この種の自信の根拠は、比較的数値化しやすいと言える。
年収なら1億とか、競技的な趣味なら世界第3位になったとか、SNSならフレンド100万人とか。
「根拠のない自信」の具体的な例としては、特に取り柄は何もないけど外に出れば初対面の人とでも堂々と会話出来るような自信とか、集団の中に居て空気を呼んだり右へ倣えしたりしなくても不安を感じないし素の自分を普通に出せるような自信とか。
この種の自信は、根拠がないから当然数値化は難しい。
日本語では、(と言っても他の国の言葉でどうなのかは知らないけど、)この2種類の自信がどちらも「自信」と呼ばれている。
そのおかげで、その2種類を混同する人が多くて(私も最近まで混同してた)、本当は「根拠のない自信」が必要なのに「根拠のある自信」を追い求めてしまってただ疲れ果ててしまったり、道を誤ったりする人が多い気がする。
「根拠のない自信」を持ってなくて周囲の人達から抜きん出る事を恐れている人が、「根拠のある自信」を得るための努力をしてもたいてい上手く行くわけがない。
だから、私は「根拠のある自信」よりも「根拠のない自信」の方が重要だと思う。
そればかりか、「根拠のない自信」は人が社会生活を送っていく上で必須のものだと思うけど、「根拠のある自信」は必須だと思わない。
「根拠のある自信」のみでは満たされる事は決してない。
年収が1億超えても、100m走で金メダルを取ることは出来ないし、万が一両方達成できたとしても世界一のプログラマにはなれないわけで、つまりは他人と比較続ける限りキリがない。
また、本当の「根拠のない自信」と、「根拠なく他人を見下す事によって得られる自信」は別ものである。
根拠なく他人を見下す事によって自信を得るというのは、自分を騙して「根拠のある自信」を持ってるように錯覚して済ますという事である。
これはまぁ最悪だし、2種類の自信の範疇にも全く入らない。
本当の「根拠のない自信」とは何だろうか。
どうやったら得られるのだろうか。
ありきたりな話になってしまうけど、「根拠のない自信」は、幼少の頃に育ての親から受けた無償の愛によって育まれる部分が大きいと思う。
無償の愛によって、細胞のひとつひとつにまで行き渡った「この世界に居て良いんだよという肯定感」は大人になっても簡単に消えることはない。
逆に「この世界に居ちゃダメなんだという否定感」が細胞のひとつひとつにまで行き渡ったらどうなるか。
それはもう他人が見てる前では、一言発するのにも指一本動かすにも多大なエネルギーを必要とする事は想像に難くない。
私も「根拠のない自信」を持ってないタイプの人間だから分かる。
人から求められてない場面で自分の意志で一言発するのがどれだけ大変か。
言葉は喉まで来てるのに、まるで口に大リーグボール養成ギプスが付いてるような感覚を覚える事も少なくなかった。
そういう時、本当にもどかしくて辛くて自分が嫌になった。
さらに自分に自信がない事を自覚してても、自信 = 「根拠のある自信」と思い込んでるから、持つ者、つまり金持ちやイケメンや名の売れた人を妬む、妬む、妬む。
ほんと辛かった。
もう今は多分大丈夫だけど。
でも、日本というのは平和な国で、親による子の虐待は存在するとはいえ、その数からしたら「根拠のない自信」が無いタイプの人間の数があまりにも多すぎる気がする。
多分、明確な虐待というものをもってしなくても、子どもの「根拠のない自信」を奪うには十分な何かがあるんだろう。
ここでひとつの記事を紹介する。
ここまで多少なりとも興味を持って本記事を読んで頂けた方には、目からウロコな情報が載ってると思うので、是非全部読んでいただきたい。
支配する親・傅(かしず)く子供 -人生を諦めかけているアナタに贈る知恵ノート-
私の母は、私に対して肉体的な虐待は一切しなかったし、それどころか物質的な面では私の面倒はほぼ完璧に見てたけど、罪悪感を利用して私をコントロールするという事を日常的にやっていた。
頻繁に罪悪感を感じさせられるから「私はダメな人間なんだ」という思いが蓄積していったし、行動原理は親にあり自分にないためそもそも自信なんてものが発生しようがなかった。
自分の意思で何かを行うわけじゃないから、結果が良くても悪くても自分の中に何も残らないし、何も学べない。
今思うと、母親も「根拠のない自信」を持たないタイプの人間で、自分で言うのもなんだけど子供の頃顔も頭も運動神経も人当たりも全体的に結構スペックが高かった私に、母親自身が送れなかった人生を見出してしまったのかもしれない。
今は実家を離れてだいぶ経つけど、未だに母は頻繁に電話してきて、出なければ烈火の如く怒るし、出たら出たでこちらの罪悪感をチクチク刺してコントロールしようとしてくる。
ほんとまぁ、よくもそんな的確に私の罪悪感をえぐれるなぁと笑っちゃうくらい。
普通に考えて、誰がそんなヤツと話したがるか!!って感じである。
最近ちょっと突き放したので、電話がパッタリ途絶えてしまったけど、それも私の罪悪感を付く作戦なんだろうか。
ちなみに私をコントロールして何をさせたいかというと、帰省させたいみたい。
だが奴隷みたいな生活に戻るのはまっぴらごめんだ。
一度、「そんなに寂しいなら、飛行機乗ってこっちにくれば?健康なんだし。空港に迎えにいくよ?」って言ったけど、一度も来たことはない。
まぁその程度の事なんだろう。
子は親の屍を超えていくものと割りきって、親のためにエネルギーを使うのは最後の最後で良い。
その代わり立派な大人になって、自分なりに社会にコミットメントしていくんだという覚悟を持って生きる。
それこそが親孝行だと思う。
まぁ何が立派かは人それぞれだから、要は自分の好きに生きるという事なんだけども。
子どもの頃「根拠のない自信」を得られなかった人が、大人になってそれを得るのはとても難しい。
でも、ある人が幼少の頃から培った(例えばローラのような)完璧な「根拠のない自信」を持ってたとしても、それでもあくまでも根拠はないんだ。そう考えると少し気が楽になる。
根拠はなくてもいいんだから、ただ単に心の箍(たが)を外す努力をするだけでいい。
もちろんそれだけでも大変なんだけど、自分には「根拠のある自信」が足りないんだと勘違いしてそっち方面で努力するよりよっぽど現実的だ。
先にも書いたけど「根拠のない自信」が無い人が、「根拠のある自信」を得ようとしてもたいてい上手くいかないからだ。
「根拠のない自信」を持たない人が、「根拠のある自信」を得ようとして上手くいくパターン(コンプレックスをバネにして成功!的なパターン)もまれにあるけど、その中でもさえ多分、努力してる中で出会った人達とのコミュニケーションによって徐々に「根拠のない自信」が補われ成長して結果的に成功するパターンがほとんどだと思う。
この「根拠のない自信」を持たない人の問題は、直接的には本人に悪影響を与えるけど、間接的には国全体に影響が及ぶはず。
政治は政治家という人間が動かすものだしその人達を選ぶののまた国民という人間だからである。
例えば最近、色んなものを法律で規制する動きが高まってて実際に施行されたものもたくさんあって息苦しさMAXな訳だけど、それも人間の「根拠のない自信」の無さが引き起こしてる部分があると思う。
自信が無ければそれだけ不安を感じやすい訳で、その不安を解消するために規制をしたがる。
でもその不安は勘違いで、実は規制の結果新たに生じる問題のほうが大きい場合もあるだろう。
でも人は不安なときは視野が狭くなりやすいから、目先の事だけ見てしまって、先の事を広く公平に想像すると言う事がなかなか出来ない。
また例えば「事なかれ主義」というのも、もちろん失敗したら後がない、再チャレンジが難しいという社会の仕組みの結果起こる問題ではあるけど、「根拠のない自信」の無さが原因でもあると思う。
さらに言うと、再チャレンジが難しいという制度そのものが出来る背景にも、「根拠のない自信」の無さが広く蔓延してる点が挙げられると思う。
自信が無くて不安を感じながら生き続けてる人は、失敗するのが怖いから一度失敗した人は採用しない。
チャレンジし続けてなお成功し続けてる人については、もちろん評価すべきだけどそんな人は多くない。
たいてい失敗してない人はチャレンジしてないか簡単な事にしかチャレンジしてないだけで、そういう人が不安を解消してくれる何かを持ってると思い込むのはオカルトチックである。
むしろ失敗したからこそ分かる事もあり、そういう意味では成功し続けてる人でさえ持ってない何かを持ってる可能性があるんだけど、今のところそれが生かされる事は残念ながら少ないと思う。
まとめ。
「根拠のない自信」の無さの問題は個人にとってとても大きなもので、国全体にとっても無関係ではないはずなのに、軽く扱われてるというか、フワッとして扱われてるというか、そもそも問題として認識されてないというか、そんな感じがある。
それは問題を定義出来てないからで、その第一歩として「根拠のある自信」と「根拠のない自信」の区別が重要ではないか。
あと、大人になってから「根拠のない自信」を得るのは難しいけど、あくまでもそれを「根拠のない自信」と呼ぶなら、根拠がないんだからいくらか気は楽になるよね。
そんなお話でした。
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