「RMAする」って言い方は変なんですけども(「RMAを利用する」と言うべきか)、やってみたのでどのくらい時間&手間がかかったか軽くメモしておきます。
まえがき
以前書いたこちらの記事で、Windows が BSoD する話や WSL(Bash on Ubuntu on Windows) でのカーネルビルドで例の segv 問題が再現する(ように見えた)ことを書きましたが、それからマザーボードの BIOS の更新で Windows を使う分には安定するようになりました。
WSL でも一旦は問題が起きなくなったと記憶してます。
そこで安定するようになった Ryzen マシンをどのような用途で使うか、ということを真面目に考えたわけです。
(それまでは用途については仕事用というフワッとした事以外決まってませんでした)
仕事柄 Chromium をビルドすることがたまにあって、Chromium のビルドはめっちゃ時間がかかるんですけども、そのために以前は Azure で多コアのマシン(10コアXeonとかだった気が)をわざわざ借りてやってたんで、この用途で Ryzen を使うと非常に良いのではないか、と思いつき Ubuntu 17.04 をインストールして環境構築をしました。
で、ついでなので WSL ではない本物の Linux 環境で segv のテストをしてみようということになってやってみたところ、再現してしまいました。
色々調べてみると、
suaefar/ryzen-test: Tools to reproduce randomly crashing processes under load on AMD Ryzen processors on Linux
このスクリプトが問題の再現にかかる時間が短いということでやってみたんですが、だいたい1時間経たないうちにボコスコ再現しまして(早いときには数分で最初のエラーが出る感じ)、こりゃアカンということで RMA することにしました。
1日目
昼過ぎに
http://support.amd.com/ja-jp/contact/email-form から「segv するので交換して欲しいんだけどどういう手続きが必要ですか?」という内容を送信。
普通に日本語で書きました。
3日目
「メモリ、マザボ、電源のモデル名、BIOSバージョン、CPUロード時の温度を教えてくれ。あと、PCケース内部の写真と、 CPU と SOC の電圧やメモリ設定のBIOSの写真を送ってくれ。」という返事が到着。
返事は日本語でした。
英語で書いたらもうちょっと返事が早かったのかもしれません。
4日目
夜に言われたとおりの情報を返信。
正直ちょっと面倒でしたw
6日目
夜に向こうからの返事が到着。
こっちから出した情報や写真には問題が無かったので追加のテストを行って欲しいという内容でした。
テスト内容は SOC 電圧をある値に上げ、CPU 電圧をある値を超えないようある刻み幅で上げながら再現テストする、という感じです。
で、指示された電圧が結構盛々だったので正直やりたくなかったんですけども(これがきっかけでCPU以外のパーツも壊れたらどうすんの?とちょっと思ったw)、思い切ってやってみたところ、全然解決しなかったので、当日のうちに「ダメでした」という返事をしました。
もし、電圧を上げたことによって解決してたらどうなったんでしょう…
それで常用してくださいなんて言われたら辛いw
(即再現したんで良かったですけども)
8日目
夕方、向こうからの返事が到着。
返品を受け付けるので送ってくれという内容でした。
RMA 番号や送り先の住所が同じメールに記載されていました。
あと、運送業者は FedEx を指定されました。
(じゃないと多分送料が着払いにならない)
その日のうちに最寄りの FedEx の営業所に電話して、事情を説明したところ翌日集荷に来てくれることに。
(うちはたまたまそう遠くないところに FedEx の営業所があったんでよかったんですけど、そうじゃない人はどうなるんだろう…)
FedEx の電話のお姉さん曰く、「集荷に行くまでに COMMERCIAL INVOICE を書いといて欲しい」ということだったので、そのとき教えてもらった
コマーシャルインボイスの記入例 | FedEx(フェデックス) を見ながら書くことに。
空の書式は
http://images.fedex.com/downloads/jp/shipdocuments/blankforms/jp_commercialinvoice.pdf から DL できます。
でこの COMMERCIAL INVOICE、これまで書いたことが無くて、具体的にどう書いたらいいのよ?というのが全く分からなくて泣きそうになったんですけどもw、色々調べながらとりあえず下記のように書きました。
(個人情報等はボカシてます。SHIPPER’S EXPORT REFERENCES のところには RMA 番号を一応書いときました。)
空いている部分は、記入の必要がないか集荷の人が書いてくれます。
これを3枚印刷しておく必要があるようです。
あと、それぞれに直筆のサインが必要です。(SIGNATURE OF SHIPPER/EXPORTER のところ)
この書き方で正しいのかどうかは全く分からないんですけども、とりあえずこれで私の場合は発送できました。
あとはこの日、Ryzen を買った時の箱に付属品含め詰め直し、さらに一回り大きいダンボールの箱に緩衝材と一緒に詰め荷造りをしておきました。
ちなみに、後で送り返した CPU のシリアル番号を要求される場面があるので、CPU を箱に詰める前にヒートスプレッダの部分の文字がしっかり見えるよう写真を撮っておいたほうがよいです。
9日目
昼過ぎに FedEx の集荷の人が到着。
COMMERCIAL INVOICE とは別の、International Air Waybill ってやつ(要は FedEx の伝票)を書く必要がありました。(
こんなやつ)
これも英語で書く必要があったのですが、 COMMERCIAL INVOICE と内容が被っているためあまり悩まずに書けました。
記入漏れしてた部分は集荷の人が書いてくれました。
右側は、
4 Express Package Service は FedEx Intl. Priority を選択、
5 Packaging は自分で梱包したので Other を選択、
7a Payment Bill transportation charges to は Recipient を選択し、8日目のメールで AMD から教えてもらった AMD の FedEx アカウント番号を記入、
7b Payment Bill duties and taxes to も Recipient を選択し、こちらも AMD の FedEx アカウント番号を記入、
(これで多分着払いになる)
という感じで書きました。
FedEx の人に荷物を渡し、すぐに AMD へメールを返信。
内容は単に「送ったよ」ということと FedEx のトラッキング番号(伝票に書いてある)を伝えただけです。
12日目
夕方 AMD から返信。
お問い合わせフォームとは別に RMA 申請用のフォームがあったらしく、そちらへの記入を求められました。
そのフォームには、名前・住所・製品名・シリアル番号等を入力する欄しかなく、つまりこれまでのやり取りを紐付ける情報(RMA番号等)を入力する欄がなかったので「大丈夫かな?」ちょっと心配になったんですけども、結果的には向こうに届いた CPU のシリアル番号で紐付けたみたいです。
13日目
夕方。
RMA 申請用のフォームから送った内容に対し、AMD から返事。
単に RMA を受け付けましたという内容でした。
この日までに、こちらから発送した CPU が向こうに届いたようです。
16日目
お昼ごろ AMD から替えの CPU を送ったよというメールが到着。
FedEx のトラッキング番号も記載されていました。
19日目
昼ごろ FedEx Intl. Priority で CPU が到着。
CPU の UA は 1713PGT から 1730SUS となりました。
早速テストしたところ、 segfault や invalid opcode は起きないみたいなので、今回の問題は交換によって解決したっぽいです。
ただし、並列ビルドの失敗自体はまれに起こりました。
多分これは他の CPU でも起こるレベルの問題(というか Makefile の依存関係の問題?)だと思いますので今のところあんまり気にしてないんですが、余裕があればちょっと調べてみたいと思っています。
あとがき
アクションを最初に起こしてから19日で交換完了しました。
19日という期間は海外とのやり取りということを考えると、遅くはないしむしろちょっと早いのではないかと思います。
が、 HDD 等の RMA と比べるとやることが多かったうえに、既にやった人の詳細な情報等が皆無に等しかったので気分的にはめっちゃ大変でした。
ただ、全部日本語でも問題なくやり取りできましたので、その点はポイント高いです。
FedEx の International Air Waybill はその場で手書きしたのですが、FedEx にアカウント登録しなんやかんやするとサイン以外は手書きが必要なかった?かもしれません。
(全然やったこともないしちゃんと調べてないので全然自信ないんですけども)
それなりに面倒なうえに、それなりに時間がかかりますし、リスクもそれなりにあると思いますので、安易に RMA を申請するのは止めておいたほうがよいと思いますが、本当に必要なかたにこの情報が役立てばよいなと思っています。
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